知らない世界に触れるという刺激で若返りが期待できるのは最近特に社会的に説かれている学説です。知らない世界に対する欲求は確かに加齢とともに衰えていくように思えます。また子どもたちの方が道の世界に対する期待も大きいといえそうです。
知らない世界は、なにもオカルトの世界に限りません。今まで行ったことがない土地の習慣であったり、耳にしたことがないような方言であったり、考えもつかなかったような発想だったり。これらのものはすべて異文化からもたらされます。
つまり知らない世界とは、異文化のことだと思えばよいのです。異文化は異なる価値観、習慣、考え方をもっており、経験がなければれらは確かに知らない世界そのものなのです。
そのような異文化に触れることによって私たちの認識は揺さぶられ、大脳皮質は強い刺激を受けます。その刺激こそが大脳活動の活発化を促します。異文化との触れ合いは若返りの秘薬なのです。
異なる文化に属している知り合いが多いほど、見かけを離れて若々しく見えるようになるのは事実です。それなら出来る限り異なる文化との接触が効果も高いと言えそうです。
とは言え、新しい外国語を習得するのは荷が重すぎるかもしれません。そこで文化的属性は職業、年齢、社会的立場、出身地で考えれば、外国からの訪問者に限らず異文化として意識できます。
同じ言葉を話すはずなのに、職業が異なると普段の言葉遣いから違ってくるものですし、年齢が離れれば、また社会的立場が異なれば、考え方が異なります。また出身地が知らない場所であれば、背景になる文化もまったく異なります。
私自身は山陽地方に縁がなかったのですが、グループに山陽地方の年出身者がいるおかげで、瀬戸内海地方の季節について具体的なイメージを描けるようになりました。
地方出身者はそれぞれの世界観を色濃く持っています。同世代の主張になると鼻につくこともあり、対応を誤ると人間関係に問題が生じることもあるでしょう。しかし、相手が若く年齢が離れていればそのようなリスクを回避するのは簡単なのです。
このように属性が違う友人を多く持つメリットがあります。地方の文化や感覚を知ることを始め、地方の特産や料理などについて知る機会は大きな楽しみです。
さらに世代が異なると使用する言葉が異なってきます。思いもよらない言葉の使用に触れたりすると衝撃を覚えることもありますが、これも属性が異なっていることが緩衝材になっています。
このような対人スキルでは中高年が絶対的に有利だといえます。逆に若い世代が求めている対人スキルを中高年の年長者が提供する関わりが彼らに刺激を与えることになります。
大人と子どもの違いこそが対人スキルです。大人になってもらうために大人の支援が必要です。大人になるとは社会的に大人になるという意味ですから、つまりは対人スキルの習得そのものです。
彼らは対人スキルに熟達した中高年と接することによって、社会的に通用する社会スキルと責任感を身につけることができるでしょうし、中高年は柔軟に受け入れる気持ちひとつで若返るヒケツを得る結果になるでしょう。
この考え方は応用可能です。地域に居住している外国出身者と関わることや、地元の学校活動に参加するなどすれば、さらに様々な属性を持った集団形成を期待できるに違いありません。
たまにはご自身の出身校の学園祭、文化祭に顔を出して後輩たちの顔を見ながら、世間話をしてみるような試みから始めてみれば、新たな異文化と出会う機会になるでしょう。