小グループを構築して関わることで、葛藤回避をコントロールする

小グループを構築する意味は小さくありません。ここでいう小グループとは若者のグループの方ですが、人数は2人以上の小規模なものを指しています。

言い換えると個人指導を出来る限り避けるようにするべきなのです。一対一の対決関係を避けるのには、大きく3つの理由があります。

一般的に人間は葛藤のストレス状態で長く安心していられません。そしてストレスに対する体制訓練が不十分な現代の若者世代は特に葛藤から逃げる傾向が強いようです。交流から逃げるという判断は本来は自殺行為なのですが、彼らはその大きな意味が理解できていません。

ですから、ストレス環境を緩和するように配慮を十分にする必要があります。交流する環境として一対一の個人指導になると、ストレスを回避するための仕掛けを用意することが難しくなります。なので若者と一対一になる環境をそもそも避けるようにします。

グループは葛藤から隠れる場所として機能します。若者同士がヒソヒソして、ニヤニヤ笑ったりしている場合があります。それはとりも治さず、ストレス環境に反応して葛藤を緩和するための無意識の行動なのです。それを容認することによって、指導する年長者側の配慮は軽減されます。

人間は家庭環境の問題を投影する傾向がありますが、彼ら若者世代の一般的な家庭環境はかつてないほど、多様になっていると考えられます。例えば父親との関係や母親との関係に問題があると、それぞれに対して特徴的な傾向を持つようになります。

その意味では個別の傾向に極端に反応しないように注意すべきでしょう。グループに対する指導を念頭に置けば、個別の傾向は抑制されますので、極端な反応を容易に回避できるようになります。

指導をする際に個人的な個別批判を避ける工夫が必要です。具体的である必要はあっても、個人を特定して非難することは後々多くの点で問題を生じる可能性を残します。そのような事故を回避するための作戦はとりあえず3つ程度用意しておきましょう。

問題は一般化して指摘する方が柔らかく響きます。個人名を挙げずに頭文字で代表させる方法は、研究分野などで頻繁に採用されます。こうすることで関係のない人には抽象的に聞こえますが、問題に直接関わっている人間には自分が当事者であることが理解できます。

当事者も含めて第三者の行動として厳しく批判すると効果的です。自分の兄弟の問題として当事者にも考えてもらう作戦です。他社に対しては批判的な視線が容易になりますので、まず批判的な考えを用意してから、当事者を話題の中心として理解させるように仕向けます。

この例の応用として自分の失敗談を例に挙げて具体化する方法も便利に使えるでしょう。年長者の失敗談は若者に親近感を抱かせ、批判的精神を養う題材として適切です。問題を取り扱うための例題として自分の人生経験を利用することになります。

このような方法を利用することで、過激になる指導を避けるようにしますが、年長者が前提にすべきこころがけを確認しておきましょう。

グループでは必ず、リーダとして適正のある人物が成長して頭角を現します。しかし、このように能力の高い人間に期待しすぎないようにする必要があります。

彼らは成長を始めても経験が不十分であり、絶えず問題に面して大きなストレスを抱えるからです。中には率先して責任を取りますなどと口走る者もいたりしますが、このような人物は慎重に取り扱う時期にあると考えるべきです。

その他、異性に対する反応には注意すべきなのは、ここで説明するまでもないと思います。年長者といえども、異性に対する能力は十分ではないことを謙虚に認めて接すれば良いのです。